「また泳ぐと肩が痛む…」水泳選手を悩ませる肩の痛みの正体
「クロールで腕を回すたびに肩の前側がズキッと痛む」
「バタフライのストロークで肩の奥に引っかかりを感じる」
「背泳ぎで腕を水面から上げる瞬間、肩に鋭い痛みが走る」
「平泳ぎでキャッチの際、肩の内側に違和感がある」
「練習後、肩全体が重だるく、夜も痛みで眠れない」
こんな症状に心当たりはありませんか?
水泳は肩関節に大きな負担がかかるスポーツです。特に競泳選手や長距離を泳ぐ方は、一回の練習で数千回も肩を動かすため、わずかな動きの歪みが積み重なり、やがて痛みとして現れます。
「湿布を貼って休めば治るだろう」「肩を揉みほぐせば楽になるはず」と思っていませんか?しかし、その痛み、単なる疲れではなく、身体のどこか別の場所に本当の原因がある可能性があります。
今回は、当院(高崎スポーツ整骨院rapportment)で実際に改善された、ある学生水泳選手の事例を通じて、肩の痛みがどこから来るのか、どうすれば根本から改善できるのかを詳しく解説します。

患者様の事例|練習のたびに肩が痛み、タイムも伸び悩んでいた高校生スイマー
来院時の状態
ある高校生の競泳選手が、半年以上続く右肩の痛みを訴えて当院を訪れました。専門種目は自由形(クロール)と個人メドレーで、週6日の練習を重ねる熱心なアスリートです。
主な訴え
- クロールのリカバリー(腕を水面上で前に戻す動作)で肩の前側に鋭い痛み
- バタフライのプル動作(水を掻く動作)で肩の奥に引っかかり感
- 練習後、肩全体が重だるく、夜間痛で睡眠の質が低下
- 痛みをかばって泳ぐため、フォームが崩れタイムが伸びない
整形外科でレントゲン検査を受けましたが「骨に異常なし」と診断され、湿布と痛み止めの処方のみ。しかし、練習を続ける限り痛みは消えず、むしろ徐々に悪化していました。
「このままでは試合に出られない」「水泳を続けられなくなるかもしれない」という不安を抱え、インターネットで当院の運動連鎖に基づく根本改善アプローチを知り、来院されました。
院長による評価で見えた本当の原因
当院の院長・小見先生がまず行ったのは、痛みが出ている肩そのものではなく、全身の姿勢と動きの評価でした。
評価で判明した身体の状態
- 胸椎(背中の中央部分の背骨)が著しく硬く、伸展(反らす動き)がほとんど出ていない
- 肩甲骨が外側に開いたまま固まり、上方回旋(腕を上げる際の肩甲骨の動き)が不足
- 広背筋や大胸筋が過度に緊張し、肩関節の可動域を制限
- 腹横筋や多裂筋など体幹のインナーマッスルが機能不全
実際に肩を動かしてもらうと、肩甲骨がほとんど動かず、代わりに肩関節だけが無理に動いている状態でした。これでは、肩の前側にある腱板(ローテーターカフ)に過剰な負担がかかり、痛みが出るのは当然です。

なぜ肩が痛むのか?運動連鎖から見た根本原因
痛む部位は「結果」であり、原因は身体の別の場所にある
多くの方は「肩が痛いなら肩が悪い」と考えがちです。しかし、人間の身体は運動連鎖という仕組みで繋がっており、ある部位の機能低下が別の部位への過負荷を生み出します。
水泳選手の肩の痛みも同様で、肩そのものではなく、胸椎と肩甲骨の動きの悪さが根本原因であるケースがほとんどです。
運動連鎖で見る肩の痛みのメカニズム
- 胸椎の可動性低下:デスクワークやスマホ操作などで背中が丸まり(猫背)、胸椎が硬くなる
- 肩甲骨の機能不全:胸椎が動かないため、肩甲骨が外側に開いたまま固まり、上方回旋が不足
- 肩関節への代償動作:肩甲骨が動かない分、肩関節だけが無理に大きく動こうとする
- 腱板への過負荷:肩関節のインナーマッスル(腱板)に過剰なストレスがかかり、炎症や痛みが発生
特に水泳では、腕を頭上に挙げるオーバーヘッド動作が繰り返されます。この動作には、肩甲骨の上方回旋と胸椎の伸展が不可欠です。ところが、これらが機能しないと、肩関節だけで無理に腕を挙げようとし、肩の前側(肩峰下)で腱板が骨に挟まれてしまいます(インピンジメント症候群)。
この患者様も、まさにこの状態でした。水泳で肩が痛い原因は肩甲骨と胸椎にあり!運動連鎖で紐解く根本改善法の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

体幹の安定性不足も痛みを悪化させる
さらに、この患者様は体幹のインナーマッスル(腹横筋・多裂筋・横隔膜・骨盤底筋群)の機能が低下していました。
水泳では、水の抵抗に負けないよう、体幹で姿勢を安定させながら腕を動かす必要があります。しかし、体幹が安定しないと、腕の力だけで水を掻こうとし、肩周りの筋肉が過剰に緊張します。
結果として、肩甲骨周りの筋肉(僧帽筋上部・肩甲挙筋)や胸の筋肉(大胸筋・小胸筋)が硬くなり、さらに肩甲骨の動きが制限されるという悪循環が生まれます。

セルフケアで根本から改善|胸椎・肩甲骨・体幹にアプローチ
ここでは、当院で実際にこの患者様に指導したセルフケアをご紹介します。痛む肩そのものではなく、原因となる胸椎・肩甲骨・体幹にアプローチすることが重要です。
注意事項
以下のエクササイズは一般的な改善例です。痛みが強い場合や、動作中に痛みが増す場合は無理をせず、専門家にご相談ください。
【基礎】胸椎の可動性を引き出すフォームローラーリリース
目的:硬くなった胸椎(背中の中央部分)をほぐし、伸展(反らす動き)の可動域を取り戻す
やり方
- 開始姿勢:仰向けになり、フォームローラーを肩甲骨の下(背中の中央あたり)に横向きに置く。両手を頭の後ろで組む
- 動作:鼻から息を吸いながら、背中をローラーに沿ってゆっくりと反らせる。口から息を吐きながら元の位置に戻る
- 回数:10回×2セット。反らす際は3秒キープ
- ポイント:腰を反らすのではなく、背中の中央部分(胸椎)が動いているか意識する
- 注意点:腰が反りすぎると腰痛の原因になるため、お腹に軽く力を入れて腰を保護する

【中級】肩甲骨の上方回旋を引き出すウォールスライド
目的:肩甲骨が正しく上方回旋する動きを再学習し、肩関節への負担を減らす
やり方
- 開始姿勢:壁に背中・お尻・後頭部をつけて立つ。両腕を「W」の形に曲げ、肘と手の甲を壁につける
- 動作:鼻から息を吸いながら、肘と手の甲を壁から離さないよう、ゆっくりと腕を頭上に伸ばす(「Y」の形)。口から息を吐きながら、元の「W」の位置に戻る
- 回数:10回×3セット
- ポイント:腕を上げる際、肩がすくまないよう、肩甲骨を下げたまま保つ意識を持つ
- 注意点:腰が壁から離れると腰を反って代償してしまうため、お腹に力を入れて腰を壁につけたまま行う
【中級】広背筋・大胸筋のストレッチ
目的:硬くなった広背筋と大胸筋を緩め、肩関節と肩甲骨の動きを改善する
広背筋のストレッチ
- 開始姿勢:四つ這いになり、右手を前方に伸ばす
- 動作:鼻から息を吸いながら、お尻を後方に引き、右の脇の下が伸びるのを感じる。口から息を吐きながら20秒キープ
- 回数:左右各3回
- 注意点:肩がすくまないよう、首をリラックスさせる
大胸筋のストレッチ
- 開始姿勢:壁の横に立ち、右腕を肩の高さで壁につける
- 動作:鼻から息を吸いながら、体を左にゆっくりひねり、右胸が伸びるのを感じる。口から息を吐きながら20秒キープ
- 回数:左右各3回
- 注意点:腰が反らないよう、お腹に力を入れて行う
【応用】体幹安定性を高めるデッドバグエクササイズ
目的:体幹のインナーマッスルを活性化し、水中で姿勢を安定させる力をつける
やり方
- 開始姿勢:仰向けになり、両膝を90度に曲げて持ち上げる。両腕を天井に向けて伸ばす
- 動作:鼻から息を吸いながら、右腕を頭上に、左脚をまっすぐ前に伸ばす。このとき、腰が床から浮かないよう、お腹に力を入れる。口から息を吐きながら元の位置に戻る
- 回数:左右交互に10回×3セット
- ポイント:腰が反らないよう、常に腰を床につけたまま動作する
- 注意点:動作はゆっくり丁寧に。勢いで動かすと体幹が安定せず効果が半減する
これらのセルフケアを継続することで、胸椎・肩甲骨の可動性が向上し、肩関節への負担が大幅に軽減されます。

当院の根本改善アプローチ|徒手療法×マシンピラティスで再発を防ぐ
Stage 1:徒手療法で「動けない原因」を取り除く
セルフケアも重要ですが、自己流では限界があるのも事実です。特に、深層の筋膜の癒着や関節の動きの制限は、自分では解消しづらいものです。
当院では、院長・小見先生が長年の臨床経験に基づき、まず徒手療法(筋膜リリース・関節モビリゼーション)で「動けない・動かない」原因を取り除きます。
この患者様への徒手療法
- 胸椎の関節モビリゼーション:硬くなった胸椎一つ一つに優しく圧を加え、伸展の可動域を引き出す
- 肩甲骨周囲の筋膜リリース:僧帽筋上部・肩甲挙筋・菱形筋など、肩甲骨の動きを妨げる筋肉の癒着を丁寧にほぐす
- 広背筋・大胸筋の筋膜リリース:前腕を使って深層までしっかり圧をかけ、硬くなった筋膜を解放する
- 腱板(ローテーターカフ)の緊張緩和:肩関節のインナーマッスルに優しくアプローチし、過剰な緊張を取り除く
施術後、患者様は「肩が軽い!腕が上がりやすくなった!」と驚きの表情を見せました。動きの制限が取れると、身体は本来持っている機能を取り戻します。

Stage 2:マシンピラティスで「正しい動き」を身体に記憶させる
しかし、徒手療法で動きを取り戻しただけでは不十分です。身体は元の悪い動きのパターンに戻ろうとするからです。
そこで当院では、マシンピラティスを活用し、正しい動きを身体に記憶させます。
マシンピラティスの利点
- 専用マシン(リフォーマー)が身体を適切にサポートし、正しい姿勢を保ちやすい
- 負荷を細かく調整できるため、痛みのある部位に無理をかけず、弱っている部位を的確に鍛えられる
- 体幹のインナーマッスルを効率的に活性化し、姿勢の安定性を高められる
- 肩甲骨と胸椎の連動した動きを、安全かつ効果的に再学習できる
この患者様には、以下のようなエクササイズを指導しました。
- チェストリフト:体幹を安定させながら上半身を起こし、腹横筋・多裂筋を活性化
- スキャプラプロトラクション&リトラクション:肩甲骨を前後に動かし、肩甲骨周りの筋肉の協調性を高める
- アームサークル:腕を大きく回しながら、胸椎・肩甲骨・肩関節の連動した動きを再学習
週2回の施術とマシンピラティスを2ヶ月間継続した結果、肩の痛みはほぼ消失し、練習にも全力で取り組めるようになりました。タイムも自己ベストを更新し、見事に全国大会への出場を果たされました。

自己流ケアとの違い
「セルフケアだけでは治らないの?」と思われるかもしれません。もちろん、軽度の不調であれば改善する可能性はあります。
しかし、深層の筋膜の癒着や関節の動きの制限は、自分では気づきにくく、解消も困難です。また、正しいフォームでエクササイズを行えているか、自己判断では分かりません。
当院では、院長・小見先生が解剖学・運動生理学・バイオメカニクスのエビデンスに基づき、一人ひとりの身体の状態を的確に評価し、最適なアプローチを提供します。これが、専門家が介入する意味であり、価値です。
また、腸脛靭帯炎の治し方|ランナー膝の痛みから復帰した患者様の実例で学ぶ根本改善アプローチの記事でも、他の事例を紹介していますので、ぜひご参照ください。

まとめ|水泳選手の肩の痛みは運動連鎖の視点で根本改善
今回は、当院で実際に改善された学生水泳選手の事例を通じて、肩の痛みの根本原因と改善アプローチをご紹介しました。
この記事のポイント
- 水泳選手の肩の痛みは、肩そのものではなく、胸椎と肩甲骨の機能不全が根本原因であることが多い
- 運動連鎖の視点で身体全体を評価し、原因部位にアプローチすることが重要
- セルフケアでは、胸椎の可動性改善・肩甲骨の上方回旋の再学習・体幹の安定性強化が鍵
- 当院の徒手療法×マシンピラティスによる2ステージアプローチで、痛みの根本改善と再発予防が可能
高崎スポーツ整骨院rapportmentは、水泳をはじめとするスポーツ障害はもちろん、スポーツ外傷や交通事故後の治療にも対応しています。群馬県高崎市の矢中・倉賀野エリアで、あなたの辛い痛みに深く寄り添い、根本から改善へと導きます。
「また全力で泳げるようになりたい」「肩の痛みから解放されたい」とお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。院長・小見先生が、あなたの身体と真摯に向き合い、最適な治療プランをご提案します。
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