「骨折後のリハビリ、週に何回通えばいいの?」—回復への不安と焦り
骨折のギプスが外れたとき、多くの方がこんな不安を抱えています。
- 「関節が固まってしまって、思うように曲がらない…」
- 「リハビリは週に何回通えば、ちゃんと元通りになるんだろう?」
- 「自分でできることはないのかな? 通院だけで本当に大丈夫?」
- 「仕事や学校があるから、頻繁には通えない。少ない回数でも効果は出る?」
骨折後のリハビリは、ただ「通院回数を増やせばいい」というものではありません。大切なのは、骨癒合(骨のくっつき具合)の段階に合わせて、適切な頻度と強度で関節の可動域を取り戻し、筋力を再構築していくことです。
この記事では、整形外科でのリハビリ経験を持つ高崎スポーツ整骨院rapportmentの院長・小見先生の視点から、骨折後のリハビリ頻度の考え方と、通院と並行して自宅で取り組むべきセルフケアの具体的な方法を、ステップごとに詳しく解説します。

骨折後のリハビリ頻度が重要な理由—「拘縮」と「筋萎縮」という2つの敵
骨折後、ギプスや固定によって関節を動かさない期間が続くと、身体には大きく分けて2つの問題が生じます。
① 関節拘縮(かんせつこうしゅく)—関節が固まる
関節拘縮とは?
関節を包む関節包(かんせつほう)や周囲の筋膜が、長期間動かさないことで硬く変性し、コラーゲン線維が密に配列されて、本来の滑りやすさ・伸び縮みする柔軟性が失われた状態です。これにより、関節を曲げようとしても「ここまでしか曲がらない」という可動域制限が起こります。
拘縮が進むと、日常生活の動作(階段の昇り降り、しゃがむ、腕を上げるなど)に支障が出るだけでなく、無理に動かそうとして他の関節や筋肉に代償的な負担がかかり、新たな痛みを生むリスクもあります。
② 筋萎縮(きんいしゅく)—筋肉が痩せて力が出ない
固定期間中、筋肉は使われないため急速に細く弱くなります。たった2週間の固定で筋力は20〜30%低下すると言われており、ギプスを外した直後は「力が入らない」「ふらつく」という状態に陥ります。
この状態で無理に動こうとすると、関節を支える筋力が不足しているため、骨折部位への負担が増し、再受傷のリスクや痛みの慢性化を招きます。
【補足】骨癒合の段階とリハビリの関係
骨折後のリハビリは、骨がどの程度くっついているか(骨癒合の進行度)によってアプローチが変わります。初期は痛みや腫れを抑える「炎症管理」、中期は拘縮を防ぐ「可動域の改善」、後期は筋力や動作パターンを取り戻す「機能回復」へと段階的に進みます。
骨折後のリハビリ、理想の頻度は?—骨癒合の段階別に考える
「週に何回通えばいいですか?」という質問に対する答えは、骨折の部位、重症度、そして骨癒合の進行度によって変わります。ここでは、一般的な目安を段階ごとに示します。
【初期】ギプス固定直後〜2週間:週1〜2回(炎症管理と浮腫コントロール)
この時期は、骨折部位の炎症や腫れが残っており、積極的に動かすことはできません。リハビリの目的は、患部以外の筋肉を軽く動かして血流を促し、浮腫(むくみ)を軽減させることです。
- 通院頻度:週1〜2回
- 内容:超音波や電気療法による炎症管理、リンパドレナージュ(浮腫の軽減)、患部外の関節(例:足首骨折なら股関節や膝)の軽い運動
- 自宅ケア:アイシング、患部の挙上(心臓より高い位置に上げる)、医師の許可があれば足指や手指の軽い運動
【中期】ギプス除去後〜4週間:週2〜3回(可動域の改善が最優先)
骨癒合が進み、ギプスが外れた直後から約1ヶ月間は、拘縮との闘いの時期です。この時期にしっかりと可動域を取り戻さないと、将来的に「曲がらない」「伸びない」といった後遺症が残るリスクが高まります。
- 通院頻度:週2〜3回(理想は週3回)
- 内容:関節モビリゼーション(関節を優しく動かして滑走性を引き出す手技)、筋膜リリース、ストレッチング、ごく軽い筋力トレーニング
- 自宅ケア:セラピストの指導に基づく自主トレ(可動域訓練)を1日2〜3回実施
【なぜ週2〜3回が理想なのか?】
関節包や筋膜の柔軟性を取り戻すには、継続的な刺激が必要です。週1回だけでは、せっかく緩んだ組織が次の施術までに再び硬くなってしまい、改善が遅れます。週2〜3回通うことで、組織が「動ける状態」を記憶し、拘縮の進行を食い止められます。
【後期】骨癒合完了後〜3ヶ月:週1〜2回(筋力と動作パターンの再構築)
骨がしっかりとくっつき、可動域もある程度戻った段階では、筋力の回復と、正しい動作パターンの再学習が中心になります。
- 通院頻度:週1〜2回
- 内容:ファンクショナルトレーニング(日常動作やスポーツ動作を模した運動)、マシンピラティスによる体幹安定化、バランストレーニング
- 自宅ケア:自宅での筋トレやストレッチを習慣化し、週3〜4回実施
「仕事が忙しくて週2〜3回も通えない…」という方へ
通院頻度が少ない場合は、自宅でのセルフケアの質と頻度がより重要になります。専門家の指導のもと、正しいエクササイズを毎日少しずつ続けることで、通院回数をカバーすることは可能です。ただし、拘縮が強い場合や痛みが残る場合は、初期だけでも集中的に通院することをお勧めします。

自宅でできる!骨折後の回復を早めるセルフリハビリ—段階別エクササイズ
ここからは、通院と並行して自宅で取り組むべきセルフリハビリを、骨癒合の段階ごとに3つのレベルに分けて具体的に解説します。画像がなくても、この手順通りに行えば効果的にリハビリを進められるよう、動作を詳細に言語化しています。
【基礎レベル】ギプス除去直後〜:関節の滑走性を引き出す「振り子運動」(肩・肘骨折向け)
目的:固定で失われた関節の自然な動きを、痛みの少ない範囲でゆっくりと取り戻します。
開始姿勢:
- 椅子の背もたれや机に健側(怪我していない方)の手をついて、上半身を軽く前傾させます。
- 患側(怪我した方)の腕は、力を完全に抜いてダランと垂らします。
動作手順:
- 患側の腕を、体の前後方向(時計の振り子のように)に小さくゆっくりと揺らします。振り幅は最初10〜15cm程度で十分です。
- 10回揺らしたら、次は左右方向に同じように揺らします(10回)。
- 最後に、小さな円を描くように時計回り・反時計回りに各5回ずつ揺らします。
呼吸のタイミング:ゆっくりと自然に呼吸を続け、腕を前に振り出すときに息を吐き、後ろに戻るときに吸います。
秒数・回数・セット数:1日2〜3回、各方向10回×1セット。慣れてきたら振り幅を少しずつ大きくします。
注意点:
- 力を入れて「動かそう」とせず、重力に任せて腕を揺らすイメージで行います。
- 痛みが強い場合は無理をせず、振り幅をさらに小さくするか中止してください。
【中級レベル】可動域が少し戻ってきたら:「膝関節の自動介助運動」(膝・足首骨折向け)
目的:膝や足首の曲げ伸ばしの可動域を、タオルを使って安全に広げます。
開始姿勢:
- 床やベッドに仰向けに寝て、患側の足裏にフェイスタオルを引っ掛けます。
- タオルの両端を両手でしっかりと握ります。
動作手順:
- タオルを手前に引きながら、膝をゆっくりと胸の方へ曲げていきます。このとき、足裏は天井を向いたまま、膝が自然に曲がる範囲で止めます。
- 「少し突っ張るけど痛くはない」ポイントで5秒間キープします。
- ゆっくりとタオルを緩め、膝を伸ばして元の位置に戻します。
呼吸のタイミング:膝を曲げながら息を吐き、キープ中も細く長く吐き続けます。戻すときに吸います。
秒数・回数・セット数:5秒キープ×10回×1〜2セット、1日2回。
注意点:
- 勢いをつけて引っ張らないこと。ゆっくりと、筋肉や関節が伸びる感覚を確かめながら行います。
- 痛みが出る場合は、可動域を狭くするか、専門家に相談してください。
【中級レベル】足首の柔軟性回復:「足関節の自動背屈・底屈運動」
目的:足首の上下の動きをスムーズにし、歩行時のつまずきを防ぎます。
開始姿勢:
- 椅子に座り、両足を床につけます。背筋を軽く伸ばし、骨盤を立てます。
動作手順:
- 患側の足先を、できるだけ天井方向に引き上げます(背屈)。このとき、ふくらはぎの筋肉がストレッチされる感覚があればOKです。3秒キープ。
- 次に、足先を床方向に伸ばして、つま先立ちをするように足首を曲げます(底屈)。すねの前側の筋肉が働く感覚を意識して3秒キープ。
- この上下の動きを1セットとして、リズミカルに繰り返します。
呼吸のタイミング:背屈のときに息を吸い、底屈のときに吐きます。
秒数・回数・セット数:各3秒×20回×2セット、1日2〜3回。
注意点:
- 動きは小さくても構いません。「動かせる範囲で最大限」を意識します。
- ふくらはぎやすねに痛みが走る場合は、可動域を狭くしてください。
【応用レベル】筋力回復期:「片足立ちバランストレーニング」(下肢骨折向け)
目的:患側の足で体重を支える筋力とバランス感覚を取り戻し、歩行や階段動作の安定性を高めます。
開始姿勢:
- 壁や椅子の背もたれなど、すぐに手をつける場所のそばに立ちます。
- 両足を腰幅に開き、背筋を伸ばします。
動作手順:
- 健側の足を床から軽く浮かせ、患側の足だけで立ちます。最初は壁に手を軽く添えてもOKです。
- 骨盤が左右に傾かないよう、体幹をしっかりと保ったまま20秒キープします。
- 慣れてきたら、壁から手を離し、何も持たずに片足立ちを行います。
- さらに上級者は、目を閉じて行うことでバランス感覚をより鍛えられます。
呼吸のタイミング:キープ中は自然に呼吸を続けます。息を止めないことが重要です。
秒数・回数・セット数:20秒×3セット、1日1〜2回。慣れたら30秒、60秒と伸ばします。
注意点:
- ふらついて転倒しないよう、必ず安定した場所で行い、すぐにつかまれるものを用意してください。
- 患側に体重をかけると痛みが出る場合は、まだこのエクササイズの時期ではありません。専門家に相談してください。
【応用レベル】上肢の機能回復:「壁腕立て伏せ(ウォールプッシュアップ)」(肩・肘骨折向け)
目的:肩や肘周りの筋力を、体重をコントロールしながら安全に鍛えます。
開始姿勢:
- 壁に向かって立ち、壁から腕一本分(約50cm)離れた位置に立ちます。
- 両手を肩幅に開いて壁につき、肘を軽く曲げます。
動作手順:
- 肘をゆっくりと曲げながら、顔を壁に近づけていきます。このとき、体幹はまっすぐ保ち、お尻が後ろに引けないよう注意します。
- 肘が90度程度まで曲がったら(痛みが出ない範囲で)、2秒キープします。
- 両手で壁を押して、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
呼吸のタイミング:肘を曲げるときに息を吸い、壁を押して戻すときに強く吐きます。
秒数・回数・セット数:10回×2セット、1日1回。慣れてきたら壁から離れた位置で行うことで負荷を上げられます。
注意点:
- 肘や肩に鋭い痛みが出る場合は、壁に近づきすぎている可能性があります。距離を調整してください。
- 手首に不安がある場合は、拳を握って行うことで負担を軽減できます。
【警告】痛みを我慢してエクササイズを続けないこと
「少し痛いけど頑張ればいける」と無理を続けると、炎症が再燃し、回復が大幅に遅れるリスクがあります。痛みが強い場合は、すぐに専門家に相談し、プログラムを見直してもらいましょう。

当院の骨折後リハビリ—徒手療法×マシンピラティスで「動ける身体」を最短で取り戻す
セルフケアだけでは、どうしても限界があります。特に、拘縮が強く残っている場合や、痛みで思うように動かせない場合は、専門家による介入が不可欠です。
高崎スポーツ整骨院rapportmentでは、整形外科でのリハビリ経験を持つ院長・小見先生が、骨折後の回復を最大化する2つのステージで、あなたの身体を根本から立て直します。
Stage 1:徒手療法で「動けない原因」を取り除く
関節モビリゼーション、筋膜リリース、IASTMツールを使った深部組織へのアプローチで、関節包や筋膜の癒着を剥がし、本来の滑走性を取り戻します。
- 関節モビリゼーション:関節を優しく動かしながら、関節内部の滑液(潤滑油のような液体)の循環を促し、関節の遊び(ゆるみ)を引き出します。これにより、自力では動かせなかった範囲まで可動域が広がります。
- 筋膜リリース:固定期間中に高密度化した筋膜を、手技やツールで緩め、筋肉同士の滑りを改善します。これにより、ストレッチの効果が飛躍的に高まります。
Stage 2:マシンピラティス・ファンクショナルトレーニングで「正しい動き」を身体に記憶させる
可動域が戻ったら、次は正しい動作パターンを身体に刷り込む段階です。間違った動きのまま筋力をつけると、他の部位への負担が増し、新たな痛みを生むリスクがあります。
- マシンピラティス:リフォーマーやキャデラックといった専門マシンを使い、関節に過度な負担をかけずに、体幹のインナーマッスルを活性化させます。骨折後の筋力低下に対し、安全かつ効果的にアプローチできます。
- ファンクショナルトレーニング:日常動作(歩く、しゃがむ、物を持ち上げるなど)やスポーツ動作を模した運動を通じて、身体全体の連動性を取り戻します。これにより、「リハビリ室では動けるのに、日常では不安」という状態を防ぎます。
【専門家介入の価値】自己流との決定的な違い
セルフケアでは、「今、どの組織にアプローチすべきか」「どの程度の負荷をかけるべきか」の判断が難しいのが現実です。専門家は、触診や動作分析を通じて、あなたの回復段階を正確に評価し、その日の状態に合わせた最適なプログラムを提供します。これにより、回復のスピードと質が大きく変わります。

まとめ—骨折後のリハビリ頻度は「段階」と「目的」で決まる
骨折後のリハビリ頻度は、骨癒合の進行度と、その時期の目的(炎症管理→可動域改善→筋力回復)によって変わります。週2〜3回の通院が理想的ですが、通院回数が少ない場合でも、正しいセルフケアを毎日継続すれば、回復を遅らせることはありません。
大切なのは、「痛む部位だけ」ではなく、身体全体の連動性を意識してリハビリを進めることです。そして、自己流で限界を感じたら、早めに専門家の力を借りることが、後遺症を残さない最大の予防策です。
高崎スポーツ整骨院rapportmentでは、骨折後のリハビリはもちろん、スポーツ外傷や交通事故後の治療にも対応しています。「痛みが取れない」「思うように動けない」と悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの身体が本来持っている「動ける力」を、私たちと一緒に取り戻しましょう。
コメント