「体幹を鍛えているのに、なぜかパフォーマンスが上がらない…」そんな悩み、ありませんか?
「毎日プランクをやっているのに、競技で力が発揮できない」
「体幹トレーニングの本を見て実践しているけど、実感がない」
「腹筋は割れてきたのに、動きのキレが良くならない」
こんな悩みを抱えているアスリートの方、実はとても多いんです。
体幹トレーニングと聞くと、多くの方が「腹筋を割る」「プランクで耐える」といったイメージを持たれます。もちろんそれらも大切なのですが、スポーツで本当に使える体幹は、表面の筋肉だけでなく、深層部のインナーマッスルが連動して働く状態を指します。
実は当院にも、「体幹を鍛えているのにパフォーマンスが上がらない」と悩んで来院された、ある高校生のバスケットボール選手がいらっしゃいました。今回は、その方の事例を通じて、スポーツに本当に効く体幹トレーニングとは何かをお伝えしていきます。

ある高校生バスケ選手の悩み|体幹トレーニングをしているのに、なぜ?
その高校生の選手(以下Aさんと呼びます)は、バスケットボール部で毎日練習に励む真面目なプレーヤーでした。
Aさんは、チームメイトに当たり負けしないよう、ネットで調べた体幹トレーニングを自主練習に取り入れていました。プランクを毎日3分、サイドプランクを左右2分ずつ、腹筋運動を100回。これを半年間続けていたそうです。
確かに見た目には腹筋が割れ、体つきもしっかりしてきました。しかし、Aさんが悩んでいたのは次のような点でした。
- ジャンプシュートの着地時に膝がブレて、次の動作に素早く移れない
- ディフェンス時に腰が落ちず、相手に抜かれやすい
- ドライブで切り返す瞬間に体が流れてしまい、スピードが乗らない
- 試合後半になると体幹部分が「抜けた」感じがして、フォームが崩れる
Aさんは「自分なりに頑張って体幹を鍛えているのに、なぜ競技で結果が出ないのか」と不安になり、当院に相談に来られました。
院長が評価して気づいた「本当の問題」
私(院長・小見)がAさんの動きを評価したところ、次のことがわかりました。
- 【胸椎(背中の中央部分の背骨)】の可動性が極端に低下していた
- 【股関節】の伸展(脚を後ろに引く動き)が制限されていた
- 【腹横筋(お腹の深層にあるコルセット筋)】がうまく働いていない
- プランクなど静的な姿勢保持はできるが、動きの中で体幹を安定させる能力(ダイナミックスタビリティ)が育っていない
つまり、Aさんは「止まった状態で耐える筋力」はついていたものの、動きの中で体幹を機能させる能力が育っていなかったのです。

スポーツに効く体幹とは?|「止まる力」ではなく「動きを支える力」
ここで、スポーツに本当に効く体幹とは何かを整理しましょう。
体幹トレーニングの2つの誤解
誤解①:腹筋を割ることが体幹トレーニングの目的
→ 見た目の筋肉(腹直筋)が発達しても、深層のインナーマッスルが働いていなければ、動きの中で体幹は安定しません。
誤解②:プランクのように「耐える」ことが重要
→ スポーツでは止まっている時間はほとんどありません。走る・跳ぶ・切り返す、そのすべての動作で体幹が働き続ける必要があります。
本当に必要なのは「運動連鎖を支える体幹」
スポーツ動作では、力は下半身から上半身へ、あるいは逆方向へと「連鎖」して伝わっていきます。この連鎖の中継地点が体幹です。
例えば、バスケのジャンプシュートでは次のような連鎖が起きています。
- 【足関節・膝関節】で地面を蹴る力を生み出す
- 【股関節・骨盤】でその力を受け止め、上半身へ伝える
- 【体幹(腹横筋・多裂筋・横隔膜・骨盤底筋群)】が安定した「軸」を作り、力のロスを防ぐ
- 【胸椎・肩甲骨】が連動して動き、腕をしなやかに使える
- 【肩関節・肘関節】から指先へと力が伝わり、正確なシュートが放たれる
この連鎖のどこかが機能不全を起こすと、他の部位が代償動作を起こし、パフォーマンスが低下します。
Aさんの場合の運動連鎖の問題
Aさんの場合、次のような問題がありました。
- 【胸椎】が硬い → 体幹の回旋(ひねり)や伸展(反る動き)ができない
- 【股関節伸展】が制限 → 骨盤が前傾できず、下半身の力が体幹に伝わらない
- 【腹横筋】が働かない → 体幹が安定せず、力が四肢に逃げてしまう
その結果、ジャンプの着地時に膝がブレたり、ドライブで体が流れたりしていたのです。

当院で行った「本当に効く体幹アプローチ」|徒手療法×ファンクショナルトレーニング
Aさんに対して、私たちは次のような2段階のアプローチを行いました。
Stage 1:徒手療法で「動けない原因」を取り除く
まず、筋膜リリースと関節モビリゼーションを使って、硬くなっていた部位の可動性を回復させました。
- 【胸椎】の伸展・回旋の可動性改善
背中の筋肉(脊柱起立筋・広背筋)の筋膜をリリースし、胸椎の関節を一つ一つ動かしていきました。 - 【股関節】の伸展可動域の拡大
腸腰筋(股関節の前側の深い筋肉)の筋膜リリースを行い、股関節が正常に伸びるようにしました。 - 【横隔膜】の動きの改善
横隔膜(呼吸の主役となる筋肉)が硬くなっていたため、肋骨周りの筋膜を緩め、深い呼吸ができるように整えました。
これらの施術により、Aさんの体は「動ける状態」になりました。

Stage 2:マシンピラティスで「正しい動きを身体に記憶させる」
次に、マシンピラティスとファンクショナルトレーニングを使って、正しい体幹の使い方を身体に覚えさせていきました。
① リフォーマーで「動きの中の体幹安定」を学習
ピラティスリフォーマー(専用マシン)を使い、不安定な環境下で体幹を安定させながら手脚を動かすエクササイズを行いました。
- フットワーク:仰向けでキャリッジを脚で押し出す動作。骨盤を安定させたまま股関節・膝関節を使う感覚を養います。
- ロングストレッチ:プランク姿勢でキャリッジを前後にスライドさせる。動きの中で体幹を維持する能力を高めます。
- サイドスプリット:横向きで片脚をキャリッジに乗せ、体幹の側屈・回旋の安定性を鍛えます。
これらのエクササイズを通じて、Aさんは動きの中で体幹を安定させる感覚(ダイナミックスタビリティ)を身につけていきました。

② スポーツ動作に近いファンクショナルトレーニング
さらに、バスケの動きに近い実践的なトレーニングも取り入れました。
- メディシンボールスロー:全身を使ってボールを投げる動作で、体幹を介した力の伝達を学習
- ランジウィズローテーション:脚を前後に開きながら体幹を回旋させ、切り返し動作での安定性を養う
- シングルレッグデッドリフト:片脚立ちで股関節を曲げる動作。着地時の安定性を高める
これらのトレーニングにより、Aさんは競技動作の中で体幹を機能させる能力を獲得していきました。

3ヶ月後、Aさんに起きた変化|「体が全然違う」
週に1〜2回のペースで3ヶ月間、徒手療法とマシンピラティスを続けたAさん。次のような変化が現れました。
プレー面での変化
- ジャンプシュートの着地時に膝が安定し、次の動作への移行がスムーズになった
- ディフェンス時に腰が落ちるようになり、相手の動きに素早く反応できるようになった
- ドライブの切り返しで体が流れず、スピードが乗るようになった
- 試合後半でも体幹が安定し、フォームが崩れにくくなった
Aさん自身も、「以前と体が全然違う。プランクをやっていた時とは比べ物にならないくらい、実戦で体幹が使えている感覚がある」と喜んでいました。
この変化の本質は、表面の筋肉だけでなく、深層のインナーマッスルが連動して働くようになったこと、そして動きの中で体幹を機能させる能力が身についたことにあります。

自宅でできる「本当に効く体幹トレーニング」3ステップ
ここからは、Aさんにも指導した内容をベースに、ご自宅でできる体幹トレーニングをご紹介します。
重要な原則
体幹トレーニングは、次の順番で行うことが大切です。
- 【可動性の改善】:硬くなった部位(胸椎・股関節)を動かせるようにする
- 【深層筋の活性化】:インナーマッスル(腹横筋・多裂筋)を目覚めさせる
- 【動作への統合】:実際の動きの中で体幹を機能させる
【基礎】胸椎伸展ストレッチ(フォームローラー使用)
目的:硬くなった背中の中央部分(胸椎)の可動性を取り戻す
やり方
- フォームローラーを床に横向きに置き、その上に仰向けになって背中の中央(肩甲骨の下あたり)を当てます
- 両手を頭の後ろで組み、膝を曲げて足を床につけます
- 息を吸いながら、ゆっくりと背中を反らせていきます(胸を天井に向けて開くイメージ)
- 息を吐きながら、元の位置に戻ります
- これを10回繰り返します
- ローラーの位置を少しずつ上下にずらしながら、背中全体をほぐします
ポイント
- 腰を反らせるのではなく、背中の中央部分が動くように意識してください
- 痛みが出る場合は無理をせず、気持ちいい範囲で行いましょう

【基礎】股関節屈筋群ストレッチ(腸腰筋リリース)
目的:座りすぎで硬くなった股関節前面の筋肉を緩め、骨盤の動きを回復させる
やり方
- 片膝立ちの姿勢になります(右膝を床につけ、左足を前に出す)
- 右手を天井に向かって高く伸ばします
- そのまま骨盤を前方にゆっくりと押し出していきます(右の股関節前面が伸びる感覚)
- 余裕があれば、上半身を左側に軽く倒します(右の体側も伸びます)
- この姿勢で深呼吸を5回行います
- 反対側も同様に行います
ポイント
- 腰を反らせるのではなく、骨盤を前に押し出すイメージで行いましょう
- 膝の下にクッションを敷くと快適です
【中級】デッドバグ(腹横筋の活性化)
目的:体幹深層のインナーマッスル(腹横筋)を目覚めさせる
やり方
- 仰向けに寝て、両膝を90度に曲げ、太ももを床に対して垂直に上げます
- 両腕を天井に向かってまっすぐ伸ばします
- お腹を薄く保ち、腰を床に軽く押し付けるようにします(これが腹横筋が働いている状態)
- 息を吐きながら、右腕を頭上へ、左脚を床方向へゆっくりと伸ばしていきます
- 息を吸いながら、元の位置に戻します
- 反対側(左腕・右脚)も同様に行います
- 左右交互に10回ずつ行います
ポイント
- 腰が床から浮かないように注意してください。腰が浮くということは、体幹が安定していない証拠です
- 動作はゆっくり、コントロールして行いましょう
- 呼吸を止めないことが大切です
【中級】バードドッグ(多裂筋の活性化)
目的:背骨を安定させる深層筋(多裂筋)を鍛える
やり方
- 四つん這いになります(手は肩の真下、膝は股関節の真下)
- お腹を軽く引き締め、背骨をニュートラル(自然なカーブ)に保ちます
- 息を吐きながら、右腕を前方へ、左脚を後方へゆっくりと伸ばしていきます
- このとき、骨盤が傾かないように、体幹で安定させます
- 3秒間キープし、息を吸いながら元の位置に戻します
- 反対側(左腕・右脚)も同様に行います
- 左右交互に10回ずつ行います
ポイント
- 骨盤が回転したり、背中が反ったりしないように注意しましょう
- 鏡を見ながら行うと、体の傾きに気づきやすくなります
【応用】ランジウィズローテーション(動作への統合)
目的:実際の動きの中で体幹の安定性と回旋を機能させる
やり方
- 立った状態から、右足を大きく前に踏み出してランジの姿勢を作ります
- 両手を胸の前で組み、肘を90度に曲げます
- 下半身はそのままで、上半身だけを右側にゆっくりと回旋させます(ひねります)
- 息を吐きながら回旋し、息を吸いながら正面に戻します
- これを5回繰り返したら、反対側(左足前)も同様に行います
- 余裕があれば、メディシンボールやダンベルを持って負荷をかけます
ポイント
- 骨盤は正面を向いたまま、上半身だけを回旋させることが重要です
- 膝が内側に入らないように注意しましょう
- 切り返し動作やジャンプの着地をイメージして行うと、競技に直結します
【応用】シングルレッグデッドリフト(片脚での安定性)
目的:片脚立ちでバランスを取りながら股関節を使い、実戦的な体幹の安定性を高める
やり方
- 右脚で立ち、左脚を軽く後ろに引きます
- 体幹を安定させたまま、股関節から上半身を前に倒していきます
- 同時に、左脚を後方へ伸ばし、体が一直線になるようにします
- 右の股関節とお尻の筋肉を使って、ゆっくりと元の姿勢に戻ります
- これを片側10回ずつ、2セット行います
ポイント
- 骨盤が傾かないように、体幹でしっかりと安定させましょう
- 余裕があれば、ダンベルやケトルベルを持って負荷をかけます
- 着地動作やカッティング動作の安定性向上に直結します

まとめ|スポーツに効く体幹は「動きの中で機能する体幹」
今回は、ある高校生バスケ選手の事例を通じて、スポーツに本当に効く体幹トレーニングとは何かをお伝えしました。
記事のポイント
- プランクや腹筋運動で「耐える力」をつけても、動きの中で体幹を機能させる能力がなければ競技には活きない
- スポーツに効く体幹とは、深層のインナーマッスルが連動して働き、全身の力を効率よく伝える「軸」のこと
- そのためには、【可動性の改善】→【深層筋の活性化】→【動作への統合】という段階的なアプローチが必要
- 当院では、徒手療法で「動けない原因」を取り除き、マシンピラティスで「正しい動きを身体に記憶させる」2段階のアプローチを行っています
高崎スポーツ整骨院 rapportment(ラポートメント)では、スポーツ障害やスポーツ外傷の治療はもちろん、交通事故後の治療にも対応しています。
「自分なりに体幹トレーニングをしているけれど、競技で結果が出ない」「パフォーマンスをもっと高めたい」とお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
あなたの身体を専門的に評価し、本当に効果の出るトレーニングを一緒に見つけていきましょう。
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